Posted by yoshitomi under オーダージュエリー, ブライダルジュエリー | Permalink |
| Leave A Comment | 鍛造リングの話 はコメントを受け付けていません
先日、取引先の営業さんが当店に起こしになり、こんな話がありました。
「鍛造のリングが売れている」
鍛造というのは、素材を叩き素材の結晶間の隙間を詰めて硬く硬化させていく方法です。
上記の方法は、冷間鍛造と呼びますが、簡単に言うと地金をカナヅチなどで叩いて品物を作る方法です。
この方法で作る事は、ジュエリーを作る上で一番シンプルな作り方です。
言わば、基礎中の基礎。
私もこの仕事を始める時には、何本も作って練習をしました。
それが、今になって何故脚光を浴びているのか・・・?
しかも、当店ではごく普通に作っている方法なのに・・・。
この鍛造とは別に、鋳造と言う作り方があります。
簡単に言うと、型に地金を流し込んで作る方法です。
このブログの右側にある「search」という所に、「鋳造」「キャスト」と入れて検索して頂くとその項目が出てきますので、ご覧下さい。
鍛造、鋳造、それぞれメリット・デメリットがあります。
品物のデザインなどにも関わってきますので、一概にどちらが優れているとも言い難いのです。
そんな中、鍛造だけを取り上げてもなぁ~・・・と、言うのが私の本音。
マリッジリング(結婚リング)で鍛造品を探している方、希望される方に、盲点があるので注意しましょう。
鍛造で作られたと言われる品物、本当に最後まで叩き締めて鍛え上げた地金なのか?
リングを作る際、ローラーなどで伸ばしたりカナヅチで叩いたりして地金を伸ばして行きます。
そして、棒状になった素材を丸くリング状にして、その継ぎ目にロー材を挟み込みロー付けをして繋ぎます。
実は、この際に地金は柔らかくなってしまうのです。
コレを「焼鈍し」と言います。
素材の結晶間を叩き詰めてしまっても、熱を加える事で結晶が大きくなり柔らかくなってしまうのです。
当店でも鍛造のマリッジリングを作り、ココで紹介しました。
上記のようにリングで柔らかくなってしまったリングを、再度叩き締めてその後は熱処理せずに仕上げて行きます。
ただ、硬さだけを求めているのであれば、それよりも重要なのは素材そのものが大事。
混ぜられている金属と割合が重要なのです。
特に、プラチナの場合、一般的に割金で使われているのはパラジウム。
コレは幾ら叩き締めても硬さはそれ程硬くなりません。
当店で使っているのは、ハードプラチナとして手に入るルテニウム割り。
他には、当店では使っていませんがイリジウム割り、コバルト割りなどがあり、一番硬いのはタングステン割りですが扱いが難しくて残念ながらこの素材は現在は作られていないので手に入りません。
また、銅のみの割金もありますが、こちらは凄く硬くなるのでPt900ではなくPt950となるのが一般的・・・そして、少し黒味が強くなるので、メッキが必要な場合もあります。
また、キャスト(鋳造)も、当店で使っているキャスト機は溶湯鍛造とも呼ぶ、地金を型に流した瞬間に数気圧の加圧をして固まるまで加圧し続けるするキャスト機なので、一般的な鋳造品よりは硬く仕上がっているのだと思います。
ダラダラと色々書きましたが、鍛造って今更取り挙げるような特殊な作り方じゃないんです。
作り方だけにとらわれる事なく、素材やデザインなど総合的に考えて頂くのが良いと思いますよ。
まずは、気に入ったお店に問い合わせ、相談する事から始めて下さい。
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