ペンダントからリングへのジュエリーリフォームのお問合せ頂きました。後日、ご来店頂く事となりご依頼がスタートしました。
ご来店され最初にお話頂いたのは、今回のご依頼内容が気になるようでしたらお断りして頂いても構いません・・・との事。
「?」と思いましたが、お話と品物を見てそれが何か判りました。
そのご依頼の品物は、「お骨から作ったダイヤモンド」だったのです。
このお骨から作るダイヤモンド、10数年前でしょうか、そんなダイヤが作る事が出来ると知りました。それまでは工業用ダイヤ位しか知りませんでしたから。
そのダイヤは純金のインゴットの中に埋め込みで留められ、周りをK18のフレームで囲われてペンダントに加工されていました。正直な感想ですが、そのダイヤはとても綺麗な色をしていました。ブルーの色をしていましたが、パープルも入ったようなとても魅力的な色をしていたのです。お客様のお話では、この色はお骨によって色が違い、ダイヤを作って見なければ何色になるのか判らないとの事。
ご来店時にお客様が気になされていたのは、お骨から作られたダイヤなので気味が悪い・・・と、思われたが最初のお話だったようです。私自身はそんな事よりダイヤに興味津々、しかもこんな魅力的な石のご依頼を頂ける事の方がずっと重要だったのです。
お話を進めてペンダントからリングへのリメイク、素材はPt900でサイズは18.5号、そして出来るだけ引っ掛かりが無いデザインがご希望との事で、まずはデザイン案をご提示する事にしました。3案デザインをご覧頂き、その中から1つを選んだ頂きました。センターダイヤはフクリン留め、リングの腕と呼ぶリング本体は月甲丸状で、そのリング上面にメレダイヤを彫留めにするデザインです。
まず、お骨のダイヤを外します。他店で作られたペンダントなのでどのような構造かのか全く判りませんが、上下に分割線がある所から外れました。
この品物を作った職人も色々と考えたのだと思いますが、エポキシ接着剤で留められていました。ただ、経年変化で接着剤がかなり脆くなっていたので、簡単に外れてしまいました。こちらにとっては好都合でしたが・・・。
そして石を外します。純金に埋め込まれているので、削って外すしか方法がありません。ダイヤなので簡単には傷が付きませんが、ココが一番緊張する場面でした。この石は世界に一つしかありませんから。中石を外した後は周囲のメレダイヤも同様に外します。中石のお骨のダイヤは0.7ct 台、メレダイヤは0.015ct(1ピース)です。
Pt900地金で中石のフクリン枠を作ります。そして、リング本体も作ります。今回はキャスト(鋳造)ではなく、地金を叩いて整形して作ります。そんな整形には溝盤と呼ぶ溝を掘った鉄材に叩き込んで地金を整形して作ります。
叩いて整形した地金を丸くしてロウ付け。そしてフクリン枠の部分をカットしてロウ付け。これでリング自体がほぼ出来上がります。
一旦仕上げ磨きをした後にメレダイヤの配置を決めます。この時、ダイヤを逆さまにしてワセリンでリングに貼り付けて位置と数を決定します。お預かりしたペンダントのメレの数より多くなりますが、事前にお客様から足しても良いとご希望を頂いていましたので、バランスを見て数を増やしました。
彫留めの職人へ石留めを依頼。戻ってきたらフクリン留めの中石を留めます。お骨のダイヤはフクリン枠を作る時に枠に合わせてありますが、枠の厚みが厚過ぎると綺麗に爪が倒れません。またタガネで叩いて枠を倒して行くので、石にも負担が掛かります。石に負担が掛からないようにしていますが、いつもこの工程は緊張します・・・。
最後に仕上げ磨きをしたら完成になります。
今回は貴重な体験が出来ました。
ご依頼を有難うございました。
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