保護ガラス付きネジ留めコイン枠
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コイン枠のご依頼を頂きました。
何度もこの日記(ブログ)では掲載をしていますが、今回も天皇陛下御即位記念10万円金貨です。
ある離島からのご依頼です。遠方から有難うございます。
今回はこれまでと違ったのが、ネジ留めにして欲しいとのご希望があった事。
また、フレーム幅を持たせ、その部分に模様彫りをして欲しいとのご希望です。
ネジ留めのコイン枠は、この日記がスタートする以前、10数年前には作った事があります。
ただ、今回のご依頼では更にご要望があり、保護ガラスも付けて欲しいとのご希望です。
こうなると、難易度が高くなります。
上下二分割で合わせ目のズレが無いフレームが必要ですし、厚みもコインとガラスの厚みを計算しなければなりません。
そこで、今回も3Dプリンターを使う事になるのですが・・・ここでトラブル三昧。
まず、どういう訳か、プリンターで造形する際にレジンが綺麗に固まらず、一部造形が抜けてしまう箇所が発生します。気温なのか、それとも造形する際の数値が間違ってるのか・・・?
結局、この原因が突き止められず、レジン量と日数だけを費やしてしまいます。
また、造形したレジンをキャスト(鋳造)する際も一部でキャストミスが発生してしまい、キャストした地金に気泡が入る鋳巣も発生してしまいました。鋳巣の原因は、レジンを石膏に埋没して燃焼する際の燃焼ミスから起こっているようですが、通常のワックスよりも燃焼時間も長く掛かる事からレジンでの製作は諦める事にしました。
当店は鋳造のみを業務にしている会社のように全自動電気炉があれば良いのですが、手動で温度管理をしなければいけません。一日付きっきりで電気炉の管理が出来ませんから・・・。
ココで登場するのが、以前使っていたCNCフライス。3Dプリンターと近い機械ですが、プリンターは積み足して造形して行くのに対して、CNCフライスは樹脂の塊を削り出して造形して行く機械です。足し算と引き算の違いです。
CNCを制御するアプリで図面を引き直し、ワックス樹脂の塊からフレームを削り出します。
それをキャスト。キャストは、いつもリングやペンダントの際に使っているジュエリー用ワックス樹脂なので、問題無く品物が出来上がりました。
ご依頼があった際に、3DプリンターでダメだったらCNCで・・・と、一応は算段をしていたので、品物が出来ないという事は回避出来てホッとしました。
キャスト後はコインが嵌る箇所、ガラスが嵌る箇所、それぞれを少しずつ削り、合わせて行きます。厚みもこの時に合わせます。
フレームが出来たら、ネジを作ります。ネジもK18YGです。
太めの針金を作り、ダイスと言うネジ切りの工具を使ってネジを切ります。
ネジ部が出来たら、ネジの頭を1mm程残してカット。カットした頭の部分にはノコギリで線を入れてマイナスドライバーが入るようにします。こうしてネジ完成。ネジ部は直径1.4mmです。
フレームの方にもネジ穴を開け、こちらはタップと言うネジ切りの工具を使ってネジを切ります。
ネジを一旦締めて合わせ具合を確かめます。
そして、ネックレスを通すバチカンをロウ付けします。バチカンを取り付けたフレーム内部には小辺をロウ付けして補強としました。使用の際は、この部分が一番力が加わりますから補強があった方が良いとの判断です。
そして、フレームは模様彫りの為に外注の職人さんへ。
戻ってきたら、仕上げ磨きをして完成になります。部品は以下の構成です。
ガラスは、お客様のご希望で傷が付きにくいサファイヤガラスです。
ガラスとコインを嵌める際、どうしても合わせ面が発生してしまいます。地金の塊を全自動で削り出してフレームを作るのであればそうした事は起きませんが、手作業部分がありますからね・・・この点は仕方ありません。
なので、位置合わせの為の印をフレームの横面に付けました。この印に合わせてネジを留めて貰えればピッタリと面が揃います。
こうしてコイン枠が完成しました。
表裏は、以下です。
ご利用を有難うございました。
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