Entries tagged with “ハンダ


この日記内で何度か取り上げている「ハンダ」問題。
いえ、ハンダ付けが悪い訳ではありません。私もシルバー製品で使う場面がありますが、その使い所が問題なのです。金具周辺でのロウ付けなどで熱によってバネ性が失われてしまう場合や、既にハンダが使われていてロウ付け修理の手段が断たれた場合など、使うには理由があるのです。(ハンダは強度が必要な部分には適していません)

今回は、取引先からの依頼ですので、詳しい事は判りません。
修理依頼は、純金製のさい箸で、根本の蓋が取れてしまっていました。

修理をしようと中を除くと、何か取り付けられていますが、どうも様子がおかしい・・・。
こうした純金製の品物のロウ付けの際は、ほぼ金ロウが使われます。ところが、そのパーツが取り付けられていたロウ材と思われる金属は「銀色」。しかも、先の尖った金属棒で突くと柔らかい・・・。
嫌な予感の中、熱を加えるとロウ材が溶ける温度よりもずっと低い温度で、このパーツがポロリと落ちてきました。

純金製にハンダ付け・・・

黄色の部分、やはりハンダです・・・。しかも、折り曲げてられている金属は純金。
それにしても、何でこのパーツを中に取り付けてあるのか理由が判りません。位置的な関係を推測すると、蓋を取り付ける際の土台にしたのか?

今回の修理では金ロウを使うので、最初の作業はハンダを取り除く事。蓋の部分にも薄くハンダの色が付いているので、取付部分と内部のハンダをできる限り削り取りました。
この後、出来るだけ低い温度で溶ける金ロウ(K14ロウ)を使ってロウ付けをしました。

この箸の持ち主がハンダを使ったのであれば仕方ない部分は残りますが、職人がハンダを使っていたのならその修理に責任が持てるのかを聞きたいです。その場だけ形が出来ていれば良いのではなく、後々も困らないように心掛けて修理をするのが職人だと思いますが・・・。

困ったものです・・・。

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シルバー素材のプレートの修理のご依頼を頂きました。
プレートを革製品から外されたようで、カシメが潰れています。

シルバープレート修理

 

カシメ金具をロウ付けします。元は鉄材のカシメのようですが、当店には真鍮製しか在庫が無く、お客様にはこの旨のお断りをして作業をします。

シルバープレート カシメ金具ロウ付け

 

磨いて完成。それ程難しい修理ではありません。

シルバープレート カシメ金具取付け

 

さて、もう1点の修理が頭を抱えるところ・・・
純金製の社章で、ピンからネジ式へ改造して欲しいとのご希望です。
ただ、よく見ると、ピンの根元が何やらおかしい・・・この銀色の部分はハンダが使われていました。

純金製社章 ハンダで修理?

 

ご自身で修理をされたのか、それとも他店で修理をしたのかは不明ですが、ハンダ使う修理は絶対に避けた方が良いのです。
ハンダは溶ける温度が低く、電気コテを使えば簡単に金属同士をくっつける事が出来ます。ただ、溶ける温度が低いと言う事は、高温でロウ付けをする際はこのハンダが素材に溶け込んで合金化してしまうという点があります。こうなると、ロウ付修理と言う選択肢がなくなってしまいます。
じゃあ、このハンダを削り取ればいいじゃない・・・と、思われるかもしれませんが、ハンダが少しでも残っていると合金化してしまうので、何処まで削ればいいのか判断が難しいのです。

今回は、ネジをロウ付け出来ませんので、土台となるシルバー板に金具を銀ロウでロウ付け。(ネジは汎用品ですので、真鍮製です)

ネジ金具作り

 

土台の板を整形してから金メッキをして本体に金属用接着剤で固定します。
ハンダが使われていなければ金ロウ材を使って直接ロウ付けが出来たのですが・・・。

ネジ金具接着

 

ハンダという素材は簡単に金属同士をくっつける事は出来ますが、強度面で比べるとロウ付けよりもずっと弱い接合方法です。接合面積を大きく取れれば接着剤も強いんですよね。(どうしてもハンダを使わなければならない修理もあります)
判断が難しければ、一度ご相談下さい。

 

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このところ多くなっているご依頼なのですが・・・

「シルバー製品の修理にハンダ付けを使われている品物」

この修理のご依頼が増えています。

シルバー製品を半田付けで修理
(以前の画像を使っています)

この殆どが、ご自身で修理をされて、直ぐに壊れてしまったので当店へお持ちになった物です。

半田付けという修理、ハンダの中には鉛が入った有鉛ハンダと鉛が入っていない無鉛ハンダがあります。
どちらも溶ける温度が低い錫(すず)が主成分となっているので、ハンダの溶ける温度は200度前後です。
強度(硬さ)も低いので、強度が必要な場合には表面積を広くしなければもたず、直ぐに取れてしまいます。
そして、一般的にシルバー製品に使われるロー付けのロー材と呼ぶ合金の場合は、溶ける温度が600度~700度程になります。

一度ハンダを使われてしまうと、この温度差からロー付けをする事が出来なくなります。

銀ロー材が溶けて溶着する前に、ハンダが溶けて銀本体にドンドン溶け込んでハンダと銀の合金になっていってしまいます。
また、悪い事に、この合金になった銀は溶ける温度が低くなり銀ローが使えなくなる他、素材が脆くなるので本体自体が簡単に折れてしまう事も多くあります。

ハンダを取り除く方法は、削り取るしかありません。
ところが、この削り取る方法にも限界があります。
品物の厚みが厚い場合には取り除く事が出来る場合もありますが、薄い物ではそれも困難。
また、厚みがあったとしてもバーナーで炙られてしまっている場合には、深く溶け込んでいる事が殆どなのでロー付けでの修理が不可能になります。

ご自身で修理する気持ちは判りますが、後々の事を良く考えて頂いてジュエリー加工をしているお店や工房にお持ちください。
お願いします・・・。

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