ジュエリー修理・リペア


昨日は、「梅雨が長引いてウンザリ」と書いたのが良い方向に向いたのでしょうか?・・・名古屋では、午後からは雨も上がり晴れてきました。
こうなると梅雨明けまで後一歩の所のようですが、そうなると今度は灼熱の名古屋の夏がやってきます。
暑くなれば、当然「汗」も出る訳で、この汗がジュエリーにも悪影響を与えてしまう事もあります。
今日は、簡単なジュエリーのお手入れ方法を紹介します。

まず、どんなジュエリーでも、
「使ったら水洗いして、乾拭きする」これだけで随分汚れが落ちます。
特に、パールのネックレスなどは、使ったら必ずこの方法でお手入れする事をオススメします。
汗が付いたままで日を置いてしまうと、変色や艶落ちの原因になります。

当店に修理に持ち込まれるジュエリーの多くが、体から出る皮脂と古い皮膚(余り書きたくは無いですが、ハッキリ言ってしまえば垢です)で汚れています。
この皮脂類の汚れが付いてしまうと、ダイヤなど輝く宝石の光も半減してしまいます。
当店で修理やサイズ直しをする際は、使われた形跡があれば必ず洗浄してから修理に移ります。
そうしないと、バーナーで熱をかけた場合にこの汚れが焼け焦げてしまい、後から取る事が大変な事があるからです。
メガネ店などで置かれている「超音波洗浄機」に使ったメガネを入れて、洗浄した事はありませんでしょうか?
透明な水に皮脂などの汚れが「モワ~ッ」と溶け出していくのが見えるのですが・・・アレが修理の際に焦げ付いてしまうのです。

殆どのジュエリーに使える方法で良く知られているものとして、「中性洗剤と歯ブラシ」を使う方法もあります。
中性洗剤は水で薄めて手で擦り合わせた時に泡が少し立つ位の濃度に、歯ブラシは毛先の柔らかい物が良いと思います。
最近の歯ブラシでは、毛先が細くなっているタイプの製品があるので、細かな部分を掃除するにはこのタイプがオススメです。
汚れが酷くなっている場合には、お湯に中性洗剤を溶かしてジュエリーを漬け込んでおき、時間をおいてから歯ブラシで掃除します。

ただ、トルコ石、ラピス、サンゴなど石自体に微細な隙間があるタイプの石では汚れが更に奥まで入り込んでしまったり、パール、エメラルド、オパールなどの熱に弱い石の場合には熱湯を使うと変色や割れが生じる事があるので、注意も必要です。
もし、上記のタイプの石を使ったジュエリーや、汚れてご自分ではどうして良いのか判らない時は、当店などの専門店へご相談ください。

いずれにしても、「使ったら出来るだけ早めに洗って乾かす事」・・・コレが長く輝きを保たせる事だと思います。

先日、当Web店舗をご覧になったお客様から電話にて「ピアスの金属アレルギー」に関してお問い合わせがありました。

「金属アレルギーなので、ピアスの金具をアレルギーの出ない物と交換出来るか?」

と言うお問い合わせでしたが、この件はベースの地金の種類によって改造が出来るかどうか変わります。

金属アレルギーは、金属が汗などの水分にイオン化して溶け込む事で起こります。
その人の体質によってアレルギーの出方に差が出てきてしまいますが、全ての人にアレルギーの出ない品物を作る方法はありません。
現代病の代表として挙げられる花粉症と同じように、解決方法が無いと言われています。
その中で、純プラチナや純金は比較的アレルギー反応が少ない素材ですが、とても柔らかい素材です。
ですから、そのままではピアスのピン(耳に刺す部分)の素材としては柔らかすぎて直ぐに曲がってしまい使い物になりません。(純プラチナや純金のジュエリーが少ないのも、コレが要因です)
これは一般的なジュエリー全般にも言える事ですが、解決方法としてこれらの地金に銀や銅などを混ぜて硬くしてPt900やK18などとして使用されています。
この混ぜる素材にイオン化しやすいものがあり、アレルギー反応として悪さをしてしまうのです。
イオン化しやすい素材として
ニッケル、コバルト、クロムなどが代表的です。
ちなみに、ニッケル、コバルト、クロム、亜鉛、マンガン、銅、銀、プラチナ、金、 チタンの順でアレルギー反応が弱くなります。(左に向かう程反応が強い)

話を改造に戻しますが、ピアスを改造する手順としては

1・・・ベース地金から、金具(ピン)を切り取る
2・・・アレルギーの少ない素材を使った金具をロー付けする
3・・・磨く

となります。
問題となるのが、2の「ロー付け」です。
ロー付けと言うのは、地金に混ぜ物をして融点(溶ける温度)を下げて地金より早く溶けさせ、かつ、地金に溶け込みやすくした素材を、溶着したい部分に置いて熱をかけて接合させる方法です。(一般的に、金ローは金を素材に、プラチナローはプラチナを主として作られています)
判りやすく言うと、溶接のような感じでしょうか。
ですから、バーナーで熱をかける事になります。
この熱をかける事で、例えば、ピアスのベースにエメラルドやオパールなどの熱に弱い石が使ってある場合には割れてしまったりするので、ロー付けが困難になります。
また、ベース素材が非貴金属のイミテーション(真鍮など)の場合は、金具とのロー付けの際に温度が高温になるので溶けてしまう事もあります。

もう1つの改造方法として「非貴金属を素材にした金具」を使う事です。
例えば、アレルギー対策用として「セラミック」や「チタン」の金具がメーカーから出ています。
コレを使えば、ほぼアレルギーが起こる可能性が無くなりますが、セラミック金具は熱をかけてロー付けする事が出来ませんので穴を開けて接着する事しか出来ません。

ただ、2つの方法いずれにしても、ベースの部分が耳に触れてしまうと折角金具を交換したのにアレルギーが消えない・・・とも、なりかねませんので、完全にアレルギーを防ぐには耳に触れないようにアレルギーの出ない板で覆うとかの工夫が必要かと思われます。

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