大物の修理のご依頼を頂きました・・・杖。
大きいとは言っても、シルバー素材で作られているのは取っ手の部分だけですけどね。

杖の修理

赤丸で囲んだ部分にヒビが入って、今にも折れそうです。

シルバー取手の杖の修理

力の加わる部分ですので、修理をして使えるようになるかどうかわかりません。
ですが、お客様の強いご希望で修理を受ける事にしました。

さて、修理方法を考えなければなりません。
ただ、それには構造がどうなっているのか把握する必要があります。
まずは・・・思い切ってヒビの入っている部分をカットしてしまいます。
そこから内部を見て修理方法を考えようと思ったのです。(カットする前に予め大まかな修理方法は考えていましたけれど・・・)

カットしてみると、細かい砂のようなモノが出てきました。

杖の内部から砂が・・・

銀の細工の内部に砂を詰めてあるのかと思ったのですが・・・

砂を触り・・・

匂いを嗅ぐと・・・

アレ?これって、もしかしたら・・・。

念の為、砂をバーナーで炙って燃やしてみました。
すると、ジュクジュクと溶け始め、独特の匂いがたちこめました。
砂の正体は・・・

「松脂(マツヤニ)」

銀で作られた杖の取手部分に溶かした松脂を詰め込み、杖の棒の本体に接着してある物でした。
最初は塊だったのでしょう、それが使っている内に力が加わり少しずつ割れて・・・砂状に。

ただ、これで少々困った事に・・・つまり、熱を加える修理が出来ないという事。
ロー付けなどの熱を加える修理をすると松脂が溶けて・・・いいえ、焼けてしまいます。
ロー付けや半田付けは一切出来ないとなると、接着しか方法がありません。
強度面を考えると内部に何か補強材をいれなければ使う事も出来ない訳です。
そこで、内部には真鍮の丸棒を削ったモノを入れて接着、外もシルバーリングを接着して修理をする事にしました。

杖の修理方法決定

取手部分の芯には5mm程の鉄材が使われているので、この鉄材が当たる部分の真鍮も削ってキッチリと収まるようにしました。
接着剤は、車の板金加工に使う特殊なモノを使用。

こうして、ある程度の強度も保つ修理が出来ました。

杖の修理完了

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